みなさんは「蜂の子」を食べたことがあるでしょうか?
蜂の子は長野県や岐阜県などの中部地方で古くから親しまれてきました。
虫ぎらいの人は気味悪がりますが、実際に食べてみると甘くて美味しいことで有名です。
しかし最近、そんな「蜂の子文化」の裏に、意外な捕食行動が隠されていたことが明らかになりました。
神戸大学と岡山大学の最新研究で、蜂の子の正体である「シダクロスズメバチ」は昆虫だけでなく、鳥や哺乳類などの脊椎動物も餌として捕食していることが判明したのです。
さらにその野生種の食生活が、飼育種との味の違いを生み出していました。
研究の詳細は2025年5月14日付で科学雑誌『Journal of Insects as Food and Feed』に掲載されています。
目次
- 蜂の子の親は何を食べているのか?
- DNA解析で判明!本当に鳥や哺乳類を食べていた
蜂の子の親は何を食べているのか?
中部地方を中心とした日本の里山では、シダクロスズメバチの幼虫を「蜂の子」として食べる文化が根づいています。
これらの蜂は「巣を採って終わり」ではなく、時に愛好家たちの手で飼育され、与える餌によってより大きく、より美味しく育てられることもあります。
この文化は戦後の食糧難時代にも重宝され、栄養価の高い貴重なタンパク源として評価されてきました。
とくにシダクロスズメバチは「大きく育つ」「味がよい」として重宝されており、現在も地域住民の間で「蜂の子飼育」は続けられています。

ところが、シダクロスズメバチが自然界で何を餌としているのか、実はあまり詳しく知られていませんでした。
1970年代に行われた調査では、昆虫を中心に54種が記録されましたが、それ以降の本格的な研究は長らく行われておらず、半ば飼育者の“経験と勘”によって飼育が続けられてきたのです。