噂の主はヒラー操縦士?深まる謎と調査
この幽霊の正体として有力視されているのが、かつてRF398をこよなく愛したヒラー上級操縦士だ。彼は1963年のRF398の最終飛行を担当し、「自分の愛機に取り憑いてやる」と語ったと伝えられている。皮肉なことに、彼はその直後、コスフォード近郊で別の航空機事故により命を落としてしまう。この悲劇が、「彼が約束を果たしたのではないか」という憶測を呼んだ。機体を点検するかのように、あるいはコックピットに静かに座っている孤独な人影の目撃談は、ヒラー氏とRF398の間に残る強い絆の表れなのかもしれない。
RF398の奇妙な評判はメディアの注目も集めた。1991年にはBBCが調査に乗り出し、ジャーナリストと超常現象研究家が機内で録音機器を設置して2晩を過ごした。その結果、温度変化や建物の構造だけでは説明が難しい機械音が記録されたという。元乗組員がこの録音を聞いたところ、いくつかの音は飛行前点検の手順で行われる作業音だと特定され、謎は一層深まった。
他の超常現象調査チームもこの謎に挑んでいる。チェスターフィールド超常現象研究グループは、機内にテープレコーダーを設置したが、わずか40分後にはテープが不可解にほどけ、改ざんされていた。その後の調査でも、特にコックピット周辺で奇妙な物音が確認されている。
テレビ番組でも取り上げられ、1990年代にITVで放送された「ストレンジ・バット・トゥルー」では、RF398が不可解な現象の一つとして特集され、全国的な知名度を得た。博物館スタッフのインタビューや目撃談の再現VTRは、この爆撃機の「幽霊が出る」というイメージを人々の心に強く刻み込んだ。1984年の別のテレビ番組撮影中には、カメラマンが軍人の幽霊らしき輪郭を目撃し、クルーを動揺させたというエピソードもある。
