ヒジャブの着用問題はイランの聖職者支配体制を揺るがす大きな問題となっている。NGOはこれまでに500人以上が死亡し、約2万人が逮捕され、約140人が死刑を執行されたと報告している。

一方、イランを取り巻く政治・経済状況は厳しい。イラン最高指導者ハメネイ師とイスラム革命防衛隊(IRGC)が裨益する国民経済を無視して、外国のイスラム過激派テロ組織「ハマス」やレバノンのヒズボラらを支援してきたが、その結果は無残なものに終わろうとしている。

このような状況下で、国民の抵抗が強く、欧米諸国から批判のある「ヒジャブ法」を施行できるだろうか。現実主義者のぺゼシュキアン大統領が拒否権を行使したのは賢明だ。2022年秋のような国内全土で反体制派抗議デモが広がっていけば、ハメネイ師を中心とした聖職者支配体制が崩壊し、イランが‘第2のシリア’となる可能性が出てくるのだ。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年5月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。