アメリカンシェールは投資家が継続的にお金を投資し続けることで機能しますが、統計を見てもそのピークははるか前に終わっており、世界に影響力を与え続けることはないとみています。とすればサウジが再び価格統制力を持つ可能性はあるのでしょう。もちろん、世界が脱原油となれば別ですが、世界の全ての内燃機関のエンジン、自動車から航空機、産業機械、発電所、タンカー/船舶さらには道路のアスファルトなど全て脱原油になることはないでしょう。また原油精製の過程では好む好まざるにかかわらず5種類の精製品ができてしまうのです。(ガス、ガソリン、灯油、軽油、残油⦅重油⦆ また、原油の質、つまり重質、軽質によりその比率が変わりWTIとブレンドは軽質油が多いため価格が高いとされます。)
よって原油の世界需要は景気に左右されますが、一定の下支えはあります。コロナの時のような相場は現実の需要と乖離したものであり、冷静に考えれば無意味な相場だったとも言えます。その中心値は概ね70㌦程度というのが今の世界経済を考えた心地よい水準というのが私の解釈であり、それを下回る今は値ごろ感があるという見方もできるわけです。
では今日はこのぐらいで。

トランプ大統領とサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子 ホワイトハウスXより
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年5月27日の記事より転載させていただきました。