「人生の意味」に関しては、親である人は一貫して非親よりも高いスコアを示したのです。
この傾向は、年齢・教育・パートナーの有無・国・性別といった全てのグループで共通して観察されました。

なぜ、「人生の意味」はどの親でも一貫して高まるのでしょうか?
それは、親になることが「未来志向」「他者志向」「目的意識」という3つの心理的側面を強く刺激するからです。
子育ては「今この瞬間の快楽」ではなく、「将来のための投資」であり、「自分以外の存在に尽くす営み」です。
その結果、多少のストレスや犠牲があっても、「自分の人生が価値あるものだ」と感じるようになるのです。
この研究は「親であること=人生の意味を深める」という現代では特に見過ごされがちな側面を、データで裏付けた点で意義深いと言えるでしょう。
今後は、親子関係の質や育児の価値観が“人生の意味”にどう影響するかを詳しく調べることが期待されます。
少子化の現代において、「親になる意味」は数字では測れないものかもしれません。
満足感は一時的かもしれませんが、「意味のある人生を送った」という実感はずっと残るものです。
親になるという選択も、案外悪くないのかもしれませんよ。
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参考文献
Parents are not happier but have a greater sense of meaning in life, study finds
https://phys.org/news/2025-05-parents-happier-greater-life.html
元論文
Parenthood in Europe: Not More Life Satisfaction, but More Meaning in Life
https://doi.org/10.1111/jomf.13116
ライター
矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。