「子どもを持ちたいけど、人生がハードになるのは嫌だ」
そんな迷いを抱く人が多い今の日本。
しかし、ヨーロッパで4万人以上を対象に行われた研究は、「親になると人生の意味が増す」という興味深い結果を示しました。
確かに親になると状況によって一時的に落ち込んだりするものです。
それでも、そんな中で「人生に対する意義」を見出せるとしたら、それは本当に“損”なのでしょうか?
そんな視点から今回の研究を覗いてみましょう。
この研究を行ったのは、ドイツ・ケルン大学(University of Cologne)の研究チームです。
詳細は2025年5月19日付の『Journal of Marriage and Family』誌に掲載されました。
目次
- 親になることは「幸せ」か?満足度と人生の意味に及ぼす影響を分析
- 親になると満足度は低下するかもしれない。でも人生の意味は増す
親になることは「幸せ」か?満足度と人生の意味に及ぼす影響を分析
人はなぜ子どもを持つのでしょうか?
少子化が進行し、育児の負担ばかりが取り上げられる現代において、「子どもを持つメリットとは何か?」という問いは、かつてなく現実的な問題となっています。
従来の社会学や経済学の研究では、親になることで「人生の満足度」、つまり日々の幸福感やストレスの少なさがどう変化するかに注目が集まってきました。
過去の多くの研究では、親と非親の間に大きな幸福の差がないか、もしくは親のほうがストレスフルであるという結果が出ていたのです。
一方で、心理学の世界では、子どもを持つことで「人生の意味」が深まるのではないかという仮説が提唱されてきました。
しかし、これまでの研究は小規模・単一国のものであり、代表性に乏しいものでした。

このような背景のもと、今回の研究では「親であること」が人生の満足度と人生の意味の両方にどのように影響するかを、ヨーロッパ30カ国・43,721人のデータを用いて調査されました。