以下にケーススタディしてみる。棚卸資産の評価額は「在庫品の仕入単価×数量」が前提である。

5月から商売を始めたある米屋の仕入れが、5月は4千円x500袋=2.000千円、6月は3千円x500袋=1,500千円だった一方、販売が、5月は4500円x400袋=1,800千円、6月は4500円x100袋=450千円+3500円x400袋=1,400千円の計500袋で1,850千円だったとする。

先ず「移動平均法」による6月末在庫の評価では次のように計算される:

期首在庫の評価:4千円x100袋=400千円、6月仕入高:3千円x500袋=1,500千円、6月末在庫評価:(40千円+1.500千円=1,900千円)÷(100袋+500袋=600袋)≠3167円/袋=316.7千円。

この場合、5月の利益は「1,800千円」-「0+(4千円x500袋=2,000千円)-(4千円x100袋=400千円)」=200千円。6月の利益は、「1.850千円」-「400千円+(3千円x500袋=1,500千円)-(3167円x100袋=316.7千円)」=266.7千円」となり、5・6月合計で466.7千円と計算される。

また5・6月の売上高と仕入のキャッシュフロー(CF)は、売上高が1,800千円+1,850千円=3,650千円のキャッシュイン、仕入額が2,000千円+1.500千円=3.500千円のキャッシュアウトなので、150千円ほど「イン」が多い。この150千円と5・6月の利益466.7千円との差額316.7千円円は6月末の在庫評価額に等しい。

つまり、7月に売上や仕入れがない場合でも、在庫評価額316.7千円の売上原価だけが発生して、損失となる。が、もし7月に3500円で100袋を販売すれば、350千円の売上高が生じるから、売上原価(在庫評価額)316.7千円との差額33.3千円が7月の利益(キャッシュフローも同額)となる。