自民党が立民党との修正協議で年金法改正の修正案に合意し、今週中に衆議院で可決する予定だという。この改正案は3月に国会に提出される予定だったが、あまりにも筋が悪いので、自民党は「基礎年金の底上げ」を削除して今月、提出した。

ところが立民党はこれを「あんこのないあんパンだ」と批判し、自民党の削除した底上げを復活した修正案を出した。今後100年で137兆円以上の大増税になる複雑な法案を密室の修正協議だけで決め、ろくに審議もしないでわずか4日で成立させるというのだ。

基礎年金の「底上げ」は130兆円の「毒入りあんこ」

立民案は基本的に厚労省案と同じだが、基礎年金の底上げのために厚生年金積立金65兆円を流用する。基礎年金には半額の税金が投入されるので、「国庫負担」つまり増税も65兆円だ。これは毎年2兆円以上の負担増になるが、その財源は不明だ。

立民案では現在の年金受給者の受給額が減る分を補填するので、増税はさらに大きくなる。このあんこは、河野太郎氏も指摘するように大増税の毒入りあんこなのだ。

「基礎年金勘定」というダミーの年金勘定

なぜこんな複雑怪奇な法案が出てきたのか。それを考えるには、国民年金の歴史を1950年代にさかのぼる必要がある。当時は保守合同の直後で、60年安保を前にして自民党と社会党が全面対決していた。