夏休み中は退屈で1日が長く感じたのに、気づけば最終日があっという間に来ていた――そんな経験はないでしょうか。

大人になると「年々時間が早く過ぎる」と感じる人も多いものです。

私たちは時折「時間が飛ぶように過ぎた」と驚きますが、その理由は必ずしも「退屈で何も変化がなかったから」とは限らないようです。

アメリカのカンザス大学(KU)で行われた研究によって、時間が早く感じられる現象には別のメカニズムが関係している可能性が示唆されています。

あなたにとっての“あっという間”は本当に退屈のせいでしょうか?

研究内容の詳細は『Personality and Social Psychology Bulletin』に発表されました。

目次

  • 時間が加速する感覚、その意外な理由
  • “あっという間”の正体:自己成長が時間を縮める心理トリック
  • 時間が飛ぶのは“よく生きた証”──成長没入と憧憬が生む加速現象

時間が加速する感覚、その意外な理由

時間が加速する感覚、その意外な理由
時間が加速する感覚、その意外な理由 / Credit:Canva

従来、この時間感覚の「加速」を説明する仮説として、主に次の2つが知られていました。

ルーティン仮説:日々が反復的で新しい出来事が少ないと、記憶に残る出来事の数が減ります。

その結果、後から振り返ると時間が空っぽに圧縮されたように感じられ、「あっという間だった」と認識されるという考えです。

成長欠如仮説:自己決定理論に基づく仮説で、自己成長を感じられない期間は「何も成長しなかった=無駄に過ごしてしまった」という思いから、その期間を短く(価値の乏しいものに)感じてしまうというものです。

(※一方で、辛さや苦しさを感じていた時期は「永遠のように感じられた地獄の日々」のように、期間が引き延ばされたような表現をされることがあります。特に抑うつ状態や無気力状態の時や孤立した状況、痛みが続く状況や疲れがある状況は、時間の進みが遅く感じたと報告されています。)