最後に4つ目としてエースの不調が挙げられる。横浜FMといえば、2年連続得点王の実績が証明している通りFWアンデルソン・ロペスが絶対的なエース。今季も3年連続得点王という偉業の達成可否と新指揮官を迎えチームのさらなる躍進のキーマンとして注目されたのは言うまでもない。しかし、開幕戦でゴールを挙げたものの以降はここまで得点から遠ざかっている。当時の神戸も、今なおエースとして君臨するFW大迫勇也が得点源として期待されたが開幕から長く得点を挙げられず、シーズン初ゴールは第13節と今季のロペス同様苦しいシーズン前半戦となっていた。

もちろん対戦相手や日程的な違いから単純比較はできないが、置かれている状況が酷似しているのは確かだ。その上で、かつての神戸がこの苦境から最終的に勝ち点を40まで伸ばし残留を果たしたことは、横浜FMにとって大きな希望と言えるのではないだろうか。

エドゥアルド(横浜F・マリノス所属時)写真:Getty Images

残留に向けての課題とポイント

試合数の違いもあり比較は難しいものの、神戸の例を参考にすると残留に向けて勝ち点40が1つ指標となりそうだ。実際今季と同様に20チームでリーグ戦が行われた昨季も、17位で残留した柏レイソルの勝ち点は41。降格した中で最も勝ち点が多かったジュビロ磐田が38となっており、裏付けとなる数字でシーズンを終えている。その上で、横浜FMが目標の勝ち点40以上を目指すために何が必要なのか、ポイントを2点挙げたい。

まずは何よりエースの復調が求められる。チーム状況は異なるだろうが、2022シーズンの神戸ではエースである大迫が前半戦わずかに1ゴールで終えたものの、後半戦に入ると復調し3試合連続ゴールを含む6ゴールを挙げ最終7ゴールとチームトップスコアラーとなって残留に大きく貢献している。横浜FMに置き換えるならば、その大迫と2023シーズンに得点王を争ったロペスの復調は必須。たとえそれが叶わなくともFW植中朝日ら攻撃陣がロペスに代わる役割を果たせなければ残留は難しいと言えよう。