少々突飛な響きがするかもしれないが、ネタニヤフ首相の悩みを解決するためには「神のアドバイスが不可欠だ」という結論に達したので、今回のコラムのタイトルとなった。

ネタニヤフ首相の記者会見、2025年5月21日、イスラエル首相府公式サイトから
奇妙なことだが、ネタニヤフ首相はロシアのプーチン大統領以上に欧州では嫌われ者になっている感がある。理由はガザのパレスチナの人々の惨状がここにきて度を越してきたからだ。連日,飢餓に苦しむパレスチナの人々が食糧配布所に鍋を持参して殺到する姿がニュースで放映されている。それを見るだけでも辛い。そしてその非人道的な状況を生み出したのはイスラエルのネタニヤフ首相の頑迷な「ハマス壊滅」政策にあるということから、同首相は国内外から批判され、糾弾されている。
ネタニヤフ氏は非情な政治家ではないと信じている。空腹で苦しむパレスチナの子供たちの状況が分からないのではない。ひょっとしたら、誰よりも理解しているかもしれない。それではなぜ、ネタニヤフ氏はガザのパレスチナの人々に医療品、食糧を支援しないのか、なぜ軍事攻勢をストップしないか、と当然言われるだろう。しかし、ネタニヤフ氏は出来ないのだ。だから、悩みが出てくるのだ。
ネタニヤフ氏の悩みについては、このコラム欄で「ネタニヤフ氏『ハマス壊滅』の深層心理」(2025年3月17日)と「指導者が『神の祝福』を失った時」(2025年3月31日)で書いたので再読していただければ幸いだ。
少し説明する。ネタニヤフ氏は2023年10月28日、突然、「アマレクが私たちに何をしたかを覚えなさい」と述べた。アマレクについては旧約聖書「申命記」や「サムエル記上」に記述されている。モーセがエジプトから60万人のイスラエルの民を引き連れて神の約束の地に向かって歩みだした時、アマレク人は弱り果てていたイスラエルの民を襲撃した。「アマレク人は神を恐れなかった」と記述されている。ネタニヤフ首相は当時、「ハマスの奇襲テロ」を「アマレク人の蛮行」と重ね合わせて語ったのだ。