さて、最近ビル ゲイツ氏が個人資産の99%を個人財団に寄贈すると発表しました。金持ちのまま死んだと言われたくないというわけです。ゲイツ氏は69歳ですが、今から20年先の2045年にそのゲイツ財団を解散すると発表しています。報道ではその基金約29兆円を20年かけてばら撒くというわけです。

ダイエットコークを飲みながらビル・ゲイツとカードゲームに興じるバフェット(2018年)

ウォレン バフェット氏が今年末で経営責任者から退くと発表しましたが、バフェット氏は自分の子供が管理する財団に死後、その資産が移り、10-15年で財団の資産を使うよう指示しています。

両名に共通しているのは単に資産を財団に移すだけではなく、その資産をさほど長くない期間で使えと指示しているのです。これは割と新しい傾向ではないかと思います。

財団の運営は通常、基金となる資金を運用し、その運用益の一部を慈善事業に寄贈するというものです。北米にどのぐらい財団があるかといえばアメリカは約105000,カナダに約11000あります。多くはPrivate Foundationと称するもので個人が設立し、一定のルールの下で運用するようになっています。カナダにはいわゆるminimum quota (最低費消割り当て)もあり、目安として財団収入の5%程度は毎年寄贈する必要があります。(なぜ費消割り当てが5%程度と小さいかといえば財団は財団の基金規模を大きくする必要があるからです。)

つまり財団は基金の金額を大きくすることで将来的に安定的な寄贈ができるような仕組みとなっているのです。それにもかかわらず、ゲイツ氏やバフェット氏は10-20年程度で基金の部分も使え、というのです。これはインパクトがあります。財団の場合はその目的と運営方針に基づきその寄贈先が自分で選べます。これは故人の遺志を明白に反映できるもので素晴らしい仕組みなのです。

財産をどう処理するかという点において、私はゲイツ氏やバフェット氏の思想である死後も長期にわたりその資産の有効活用を維持する取り組みが素晴らしいと思うのです。