今や大手上場会社の役員なら年収1億円クラスが驚かれない時代となりいわゆる資産家は今後、急速に増えそうです。またこの10年、都心部や主要都市の利便性の良い不動産は数割から2倍程度上昇しています。不動産持ちの方にとっても悪くない話でしょう。ただし、一軒しかお持ちではない方はいくら不動産価格が上がっても固定資産税が上がるだけ、と言われそうですが。

さて、財産をどう処理するか、つまりイグジットプランを考えてみましょう。日本の書店に行けば相続税対策の書籍はたくさん並んでいます。そのほぼすべてが税金対策であり、いかに節税して財産を子供たちに引き継ぐがという指南書になっています。

では質問です。あなたはなぜそこまでして子供に相続させたいのでしょうか?

子供がお金に困らない様になればいいじゃないか、お前何言ってんの?と言われるでしょう。でも子供がお金に困らないようにすることが本当に意味あることなのか、これは一歩下がって考えてもよいでしょう。

私は北米で様々なことを学んできたわけですが、その中の一つに親は親、子は子という考え方があります。親の金は親が使うものであり、子供に分け与えるという発想は必ずしも優先しないというものです。余ったらやるけれど特別配慮して子供に分配するという発想はないとは言いませんが、日本のような強い発想はないと思います。

歳を取って自宅に住めなくなれば施設に入ります。日本では家を売って施設に入るという発想は少なく、空き家放置にしているケースも多いと思いますが、こちらは基本的には家を売却して施設に入ります。こちらの不動産価値が中古でも日本に比べて相当高く、よい金額で売買されることから住まないなら売る、また空き家にすると空き家税がかかるから売らざるを得ないのです。

施設に何年お世話になるかはわかりませんが、「この住宅売却代金で10年ぐらいは大丈夫かな」と言いながら施設に入居される方もいらっしゃるわけです。つまり基本は使い切りの発想です。