研究者らは、1500年代から2000年代にかけて、世界中の先住民族によって行われた「持久狩り」や「持久走狩猟」と言われる狩猟法に関する記録を調べました。
「持久狩り」とは獲物が疲れて動けなくなるまでひたすら追い回す狩猟法です。
この狩猟法のターゲットにされた獲物たちは、水を飲んだりエサを食べたりする暇を許されず、文字通り死ぬまで追い続けられます。
すると世界中の272カ所から400件余り「持久狩り」に関する情報が得られました。
対象となった地域は熱い地域、寒い地域、湿った地域、積雪がある地域など実にさまざまでした。

これらのデータは、人類にとって耐久狩猟は極めて一般的な狩猟法であることを示しています。
では、エネルギーの観点からみて、持久狩りは有用な手段だったのでしょうか?
これまでの研究でも、人類は持久力を武器にしてきたという言及がみられましたが、消費エネルギーの観点からそれが収支にあった狩猟法であるかは疑問視されていました。
そこで新たな研究では、さまざまな地域で行われる持久走によって消費されるカロリーと、狩猟に成功した場合に得られるカロリーの差が計算されました。
すると驚くべきことに、走りながらの持久狩りの効率が他の狩猟法と比べて同等かそれ以上に効率的であることが示されました。
また新たな研究ではウォーキングとランニングの「実践的」なコスト差も調べられました。
というのもランニング追跡によって節約できる時間は、実践的な狩りでは大きな影響を与えるからです。
たとえば歩くと 4 時間かかるところを、ランニングで 2 時間節約できるとしたら、費やした時間に対する純利益率はほぼ 2 倍になります。
余った 2 時の間に追跡者は、別のもっと効率のいい獲物を見つけたり、他の重要な活動に投資したりもできます。