今日の鳥類に受け継がれている「羽毛」は、鳥類型恐竜において初めて誕生したとするのが現在の定説となっています。
そのシナリオはこうです。
まず、初期の獣脚類(Tレックスやヴェロキラプトルを代表とする肉食グループ)において「恒温性能」が進化し、その体内の温度を守る断熱材として羽毛が誕生しました。
そしてこれらの羽毛が徐々に大きさや複雑さを増していく中で、滑空のための機能を獲得するに至ったのです。
「恒温性能の誕生」について詳しく知りたい方は、こちらをご参照ください。
体温を一定に保つ「恒温性能」は1億8000万年前の恐竜の間で進化していた!
その一方で、一部の古生物学者は「ロンギスクアマの突起は多くの点で鳥の羽に似ているため、羽毛を最初に獲得した恐竜と共通の祖先を持っていたのではないか」と考えるようになりました。
そしてロンギスクアマは恐竜よりも先に誕生していたことから「羽毛の真の起源はロンギスクアマにこそあったのではないか」と。
確かにロンギスクアマの突起は鳥の羽によく似ていたため、そう考えられてもおかしくありません。
しかしこの仮説も、ロンギスクアマの突起の材質が羽毛とまったく違うこと、ロンギスクアマのグループは鳥類型恐竜の系統とは大きくかけ離れていることなどから、これまた明確に否定されています。

ではロンギスクアマは何のために棒状突起を生やしていたのか?
今のところ最も有力なのは「求愛や威嚇のための装飾だった」という説です。
おそらく、オスがメスに求愛したり、あるいは他のオスのライバルと競い合う際に使われた可能性があります。
他方で、この突起は明らかに悪目立ちするものだったはずです。
この形質がその後の爬虫類に受け継がれていないところを見ると、天敵に見つかりやすく、種の存続にとって不利に働いたと考えられます。