「トラバーチンには化石が含まれることが多いです。

その多くは、湧水に生息する藻類、植物、小動物であり、特に軟体動物や甲殻類の化石が見られます。

そしてもっと大きな動物の化石が見つかることもあり、人間も例外ではありません。

よく知られている人類の化石のいくつかは、トラバーチンから発見されてきたのです。

そしてこれらの発見のほとんどは、建設用の採石の際にもたらされました」

つまり、今回のケースでは、トラバーチンを採石場から切り出す際に、そこに含まれている人間の化石が、途中で発見されることなくタイルにまでなったということなのです。

人間の顎骨だと気づくのは難しい

では、写真のタイルに埋まっていた顎骨は、一体誰のものなのでしょうか。

専門家によると、今回のタイルに使用されたトラバーチンは、トルコ西部のデニズリ盆地の採石場から切り出されたものであり、ここで採れる石は180万年前から70万年前のものだと考えられています。

しかし投稿された写真だけでは、そこに埋まっていた人類の種や年代について正確に知ることは難しいようです。

床タイルに埋まっていた人間の顎骨の詳細は、現在調査中
床タイルに埋まっていた人間の顎骨の詳細は、現在調査中 / Credit:Kidipadeli75(Reddit)

ホークス氏は、「明らかに人類の親戚だと考えられるが、現代人類の可能性を排除したり、どの古代集団に属していたかを突き止めたりするには、詳細な研究が必要だ」と語っています。

幸い、投稿者である歯科医は、複数の大学の研究者からアプローチを受けており、現在、タイルとその顎骨については詳しく調査されているようです。

ちなみに、「なぜタイルとして一般住宅の床に敷かれるまで、誰も顎骨の存在に気づかなかったのか」という疑問については、ホークス氏が次のように答えています。

「採石場では、トラバーチンやその他の石を大きなパネルに粗削りし、研磨前に基本的な品質検査が行われます。

とはいえ、小さな穴や模様、混入物があったとしても、それらはトラバーチンの特徴の1つであり、そもそも人々は、それを好んでトラバーチンを求めるので、検査の段階で注意深く見られることはありません。