そう考えると、何かしらのADHD特性を持っている人は知られていないだけで、世の中にたくさんいることになるでしょう。

そもそも集中力が不安定だったり、落ち着きがなかったり、思いつきで行動する特性は、程度の差こそあれ、誰もが持っているはずです。

厳格な規律や協調性が求められる学校や会社では、そうした傾向がある種の「疾患」や「障害」とカテゴリーされるかもしれませんが、反対にADHDには優れた長所もたくさんあります。

例えば、独創性に富んでいて発想力があったり、好奇心旺盛で挑戦的だったり、寝食を忘れて一つことに没頭できるなど、これらは「個性」として大きな強みです。

確かにADHDによって社会に馴染めず、苦しんでいる人も多いので、単純にADHDを「個性」として片付けるのは難しい問題です。

しかしながら、多くの人がADHD的な性向を少なからず共有している現在にあって、そのすべてを一言で「疾患」や「障害」と呼んでしまうのはもはや適切ではないでしょう。

ADHDには「進化上の利点」があった!

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参考文献

Why have rates of ADHD in kids gotten so high?
https://www.nbcnews.com/health/kids-health/adhd-rates-kids-high-rcna153270

2012年から2017年にかけて大人のADHDの診断数が日本で急増 -全国の診療データベースを用いた大規模疫学調査-
https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/medicine/topics/2022/10/13169850.php

元論文

ADHD Prevalence Among U.S. Children and Adolescents in 2022: Diagnosis, Severity, Co-Occurring Disorders, and Treatment
https://doi.org/10.1080/15374416.2024.2335625