「我々をスパイするのはやめてください」

 幸い、GPS追跡装置にはバードライフ・スウェーデンの連絡先が残されていた。普通のメールアドレスが記載されている時点でスパイ機器ではないと気づくべきだったかもしれないが、それはさておき、地元住民たちは、バードライフ・スウェーデンの受信箱を「複雑な装置をつけた鳥を捕まえました。スパイ鳥だと信じています」という内容のメールで溢れさせた。

 もちろん鳥はスパイではない。アロンソン氏は状況を説明し、「鳥を放してほしい、繁殖のために向かっている途中なので重要だ」と返信したが応答はなく、送信機も沈黙してしまったという。カモメの安否は残念ながら誰も知ることはないだろう。送信機を壊された後に放されたのかもしれないし、もう生きていない可能性も否定できない。