2. 亡き祖父、孫に別れの挨拶
昨夜、私たちはいつものように家の外で焚き火を囲んでいた。幼い息子が夫の膝の上に座っていたのだが、突然空を見上げて誰かに手を振り、「バイバイ」と言ったのだ。後で分かったことだが、その日の昼過ぎに私の父が亡くなっていた。
亡くなった正確な時間は分からない。しかし、もし生前は無愛想で気難しい人だった父が誰かに別れを告げるとしたら、それは間違いなく息子だっただろうと私は心から信じている。父は初孫である息子を溺愛していたし、以前はよく一緒に焚き火にあたっていたのだから。