南極は常に極寒の地ではなかった?地殻変動説の衝撃
現在の南極大陸は、厚さ1キロメートル以上もの氷に98%が覆われた、生命にとっては極めて過酷な環境だ。しかし、太古の南極大陸は、必ずしも今日のような極寒の地ではなかった可能性が指摘されている。
その鍵を握るのが、地殻移動説、または地殻変異論などと呼ばれる科学理論だ。一般的に知られる大陸移動説では、地球の地殻は複数のプレートに分かれ、ゆっくりと移動しているとされる。しかし、地殻移動説はこれをさらに拡張し、約4万年ごとに地球の地殻全体が一つのユニットとして急激に移動すると主張する。この「シフト」によって、大陸全体が地球上の新たな位置へと再配置されるというのだ。
多くの研究者は、この地殻の大変動が最後に起きたのは紀元前1万年頃であり、この時南極大陸が赤道付近から現在の南極点の位置へと移動したと考えている。もしこれが事実なら、かつての南極大陸は温帯または熱帯気候にあり、森林に覆われ、多様な生命が生息していた可能性がある。そして、アフリカやヨーロッパ、アジアで人々が社会を発展させたように、この「氷なき南極」でも古代文明が栄えていたかもしれないのだ。