また、AfDの思想的指導者、テューリンゲン州のAfDの代表,ビュルン・ヘッケ氏は、ホロコーストやナチス時代の罪を軽視または否定する歴史修正主義者であり、極右思想の中核にある「民族的純粋性」や「国家主義」に通じる思想の持主だ。そのヘッケ氏が突然ワシントンを称賛しているのだ。

ここで看過できない点は、親米派の土台はトランプ大統領の側近、バンス副大統領や実業家イーロン・マスク氏のAfD支持発言が契機となっていることだ。世界的実業家であり、トランプ米大統領の最側近の一人、テック業界の億万長者、イーロン・マスク氏は今年1月25日、ハレで開催されたドイツの極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)の公式選挙キャンペーン開始集会にビデオ出演し、AfD支持をアピールした。マスク氏は「AfDこそがドイツの最良の希望だ。ドイツ人であることを誇りに思うことは良いことだ」と語り、AfD党員たちに発破をかけている。

マスク氏は「ワイデル党首が首相になれば、ドイツにとって非常に良いことだ」と繰り返し、AfD支持を表明。「AfDは私の完全な支援を受けており、トランプ政権からも支援を得ている」と述べた。

一方、親ロシア路線を支持してきたAfD議員は現在のプーチン大統領のロシアを支持することが難しくなってきている。クルパラ党首は、プーチン大統領が西側諸国に平和の手を差し伸べていると繰り返し主張してきたが、ここ数週間のプーチン大統領の行動を見ると、この議論は非現実的に思えてくる。

コルマー記者は「AfDは、より穏健なイメージを外部世界に示すことで、ファイアウォールを打ち破りたいと考えている。これには、モスクワから距離を置くことに加え、本会議において演壇に立つ際も、また議場にいる国会議員たちの間でも、より控えめな態度をとることも含まれる」と指摘している。党のイメージチェンはAfDが将来、他の政党と連立を組むうえで必要となるからだ。