少なくとも、消費者が「国に届くなら仕方がない」と納得して負担した消費税が、国に届かず、流通過程のどこかで力を持った者の手元に残っていたのは事実だ。

某大手美容外科が、実質的には雇用関係にある医師を個人事業主として院長に仕立て、報酬に消費税を上乗せせずに、自らは控除していたという事例もある。

このような偽装請負を、従来の消費税制度は誘発していた。そして、そのような不正を防止するために導入されたのが、インボイス制度なのだ。

とはいえ、我々税理士にとっても、インボイス制度は正直なところ嫌で仕方がない。

手間は増えるし、法人設立による益税かすめ取り提案は、オイシイ仕事だったのだから。

それでも、自分の利益のために、事実と事実を都合よく繋ぎ合わせ、自分の主張に合うようなフェイクを作り出すのは、プロフェッショナルとして俺はやらない。

それなのに、絶対に事実を知っているはずの財務省出身の政治家が「インボイス廃止」を主張しているのは、我慢して耐えている税理士として本当に許せない。

俺だって、「そうだそうだ!」って褒められたいんだよ。

 

(編集部より)この記事は、吉澤大(税理士)「2時間で丸わかりインボイスと消費税の基本を学ぶ」5刷40,000部@yomasaruのポストを、許可を得た上で転載いたしました。