ところがその後、この人が過去(といっても2020~21年)に、ムスリムや黒人、アジア系など他のマイノリティへの差別発言を連発していたことが判明した。スペインの俳優なので、ハリウッド側のチェックが甘かったらしい。

ノミネートの剥奪こそなかったものの、映画を配給するNetflixは一切のサポートの拒否を表明し、誰も彼女に好意的な態度を見せたくないということで、授賞式の演出まで変更になった。要は捨てられたわけで、むろん賞も他の人が受賞した。

性的少数者まさかの黒人差別でハリウッド大混乱
ミュージカル映画『エミリア・ペレス』への出演でアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされたトランスジェンダーのカルラ・ソフィア・ガスコンが、過去のムスリムや黒人に対する差別的コメントにより、事実上、ア…

この事件が起きるまで、キャンセルカルチャーと言えば「トランス差別」をした(と見なされた)人に対して発動されるものだった。しかし今回の顛末を受けてむしろ、『エミリア・ペレス』はこのトランスジェンダー女性に対するキャンセルで、作品賞まで逃したとさえ報じられている。

つまり潮流はいまや、180度逆転したのだ。そしてそれは、差別の問題を真剣に考える人にとっては、なんら驚くべきニュースではなかった。

人気司会者ビル・マーがアカデミー賞について語る「『ANORA アノーラ』の受賞はキャンセル・カルチャーが影響している」
アメリカの人気司会者で知られるビル・マーが、2025年度のアカデミー賞の結果について独自の見解を語った。ビルは『エミリア・ペレス』が賞を総なめにするはずだったと発言し、… 

エズラ・ミラーという俳優がいる。細面なハンサムで、かなり人気のあった(たぶん)男性なのだが、本人は自身をトランスジェンダーだと認識している節もあるらしく、2022年にはすでに不品行が騒動となっていた。