一方で、オビセトラピブはCETP(コレステロールエステル転送タンパク質)を阻害する薬です。
この作用により、HDL(善玉)コレステロールが増え、LDL(悪玉)が効率的に肝臓へ回収されやすくなります。
つまり、エゼチミブは体に入ってくるLDLを減らす一方で、オビセトラピブは体の中でLDLの流れを調整するという、異なるアプローチで悪玉コレステロールに対処しているのです。
副作用の面でも、併用グループで重篤な有害事象が起きたのは3%であり、これはプラセボ(4%)や他の薬と同等で、安全性も良好と評価されました。
もちろん、この研究には限界もあります。
例えば、期間が84日と比較的短期間であるため、心筋梗塞や脳卒中といった臨床イベントの抑制効果については今後の研究が必要です。
それでも、スタチンが使えない人や、効果が不十分な人にとって、この新旧薬の合わせ技は有力な治療オプションになりうると言えるでしょう。
日々のバランスの取れた食生活や適度な運動といった生活習慣がコレステロール管理の基本であることに変わりはありません。
しかし、それを支える薬の選択肢が進化していることは、私たちにとって非常に心強いニュースです。
※2025年5月現在、オビセトラピブは日本で臨床試験中です。
全ての画像を見る
参考文献
New & old drug combo drops cholesterol by 49% in human trial
https://newatlas.com/heart-disease/cholesterol-medication-combination-ezetimibe-obicetrapib/
New Drug Used in Combination Therapy Reduces LDL Cholesterol by Nearly Half in Patients at Risk of Cardiovascular Disease
https://newsroom.clevelandclinic.org/2025/05/07/new-drug-used-in-combination-therapy-reduces-ldl-cholesterol-by-nearly-half-in-patients-at-risk-of-cardiovascular-disease