しかし、すでにスタチンなどの薬を服用していても、十分にLDL値が下がらない人が多く存在します。

そこで今回の研究では、既存薬エゼチミブと新薬オビセトラピブを組み合わせるという新しい治療戦略が試されました。

画像
既存薬と新薬の組み合わせを検証 / Credit:Canva

対象となったのは、心血管疾患の既往歴がある、あるいはリスクが高い407人の患者たちです。

スタチン治療に十分な効果がなかった、あるいはスタチンに不耐性の患者で、LDLコレステロール値が70mg/dL(1.8mmol/L)以上であることが条件でした。

被験者は①オビセトラピブとエゼチミブの併用療法、②オビセトラピブ単独、③エゼチミブ単独、③プラセボという4つのグループに無作為に割り当てられ、それぞれが84日間にわたり薬を服用しました。

主要評価項目は、ベースラインからのLDLコレステロールの変化率でした。

では、結果はどうなったでしょうか。

新旧2つの薬が合わさるとLDLコレステロールを49%も低下させる

結果は非常に注目すべきものでした。

84日後、最も効果があったのは、エゼチミブとオビセトラピブの併用療法グループでした。

このグループでは、LDLコレステロールがプラセボ群と比較して48.6%も低下していました。

そして、エゼチミブ単剤と比較して27.9%、オビセトラピブ単剤と比較して16.8%という、圧倒的な差を示しました。

画像
新旧2種の併用はLDLコレステロールを49%も低下させる / Credit:Canva

では、なぜこの2剤を併用することでこれほどの効果が得られたのでしょうか。

その鍵は、2つの薬が働く場所と仕組みがまったく異なるという点にあります。

エゼチミブは、小腸でのコレステロール吸収を阻害する薬です。

これは、食べ物や胆汁由来のコレステロールが小腸から血液に吸収されるのを防ぎ、血中LDLコレステロールの増加を抑える働きをします。