健康診断で「LDLコレステロール値を下げるべきです」と医師から言われたことがあるかもしれません。
放っておくと動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳卒中といった深刻な病気につながることもあるため、「コレステロール値をどう下げるか」は心疾患を持つ患者にとって重要な関心事です。
そんな中、アメリカの医療センターであるクリーブランドクリニック(Cleveland Clinic)の研究チームが驚くべき成果を発表しました。
なんと、既存薬「エゼチミブ(ezetimibe)」と新薬「オビセトラピブ(obicetrapib)」の2つを組み合わせることで、プラセボと比較してLDLコレステロールの値を平均48.6%も低下させることに成功したのです。
この成果は2025年5月7日付の『The Lancet』誌にも掲載されました。
目次
- LDLコレステロールとは?従来の薬が効かないケースも
- 新旧2つの薬が合わさるとLDLコレステロールを49%も低下させる
LDLコレステロールとは?従来の薬が効かないケースも
LDLコレステロール(Low-Density Lipoprotein cholesterol)は、以前は悪玉コレステロールとして呼ばれていました。
LDLはリポタンパク質の一種で、全身の細胞にコレステロールを運ぶ役割を担っています。
これ自体が悪い働きをするわけではありませんが、過剰になると血管の内壁にこびりついてプラークという塊を形成すると考えられてきました。
このプラークは血流を妨げることで動脈硬化の原因になります。

そして動脈硬化が進行すると、心筋梗塞、脳梗塞、狭心症といった命に関わる疾患のリスクが高まってしまいます。
ガイドラインによれば、すでに心疾患を抱えている人では、LDL値を70mg/dL未満に抑えることが推奨されており、それでも数値が高い場合は薬物療法が導入されます。