まさに「1on1あるある」です。

こうして「1on1 = ティーチング」と勘違いした上司は、「自分が知っている目標達成の方法を、教えてあげよう」と考えて、親身になって教えようとします。

しかし部下には部下だけが抱える悩みがあったりします。その悩みを理解せずにアドバイスしても、的外れなアドバイスになりがちです。これではちょっと残念です。

「コーチング」の基本的な考え方はティーチングの真逆で、「答えは、相手が持っている」。「自分は知らない」という前提で、相手のことを謙虚に聞きます。

1on1は、部下の悩み=問題を解決することが目的です。その悩みは人によって千差万別。ですから1on1は、部下が抱える固有の悩みや課題を理解することから始まります。

たとえば先の営業課長と部下の1on1だと、こんな感じです。

課長「この前の商談、率直に言って、どうかな?」 部下「失注した原因は、先方の部長のアポが取れなかったことです。実は行き違いがあったんです…」 課長「そうだったのか…。話せる範囲で教えてもらってもいい?」 部下「別案件で私の説明が足りずに、激怒されたんです。それから話しづらくて…」 課長「うわぁ。そんなことがあったのか。どんなサポートをすればいいかな?」 部下「最初だけでも課長に同行いただければ、部長と話がしやすくなるかもしれません」 課長「もちろん同行するよ」 部下「次の案件で部長に話を通す必要があるので、その時にお願いできますか?」

このように課題は部下が一番よくわかっています。まず部下がどんな課題を抱えて困っているのかを、謙虚に聞くことが出発点です。

ティーチングでは、マネジャーが8割話したりします。逆にコーチングでは、マネジャーが話すのは2割に留めて、8割の時間は部下の話を聞くことに費やします。

こうして書いていますが、実はこれは、私が日本IBM社員時代に経験して学んだことです。