仕事には人生の大半の時間を費やすとよく言われます。
では、どんな職業に就くと人は幸せに感じるのでしょうか。
エストニアのタルトゥ大学(UT)で行われた大規模研究によって、医療職や聖職者、作家など達成感と自律性に富む仕事が満足度ランキングのトップを飾る一方、厨房や倉庫作業、コールセンターなど反復的でストレス要因の高い職種は下位に沈み、自己決定感が幸福度を強く押し上げるという傾向が示されました。
また意外なことに、仕事の満足度を左右するのは高い給料や肩書きよりも、「やりがい」や「自律性」といった要素であることが示されています。
あなたは今の仕事から十分な達成感を得られているでしょうか?
研究内容の詳細は2025年5月6日に『PsyArXiv』にて発表されました。
目次
- なぜ今「仕事×幸福」を科学するのか
- 5.9万人が答えた「仕事満足度」の真実
- 収入と満足度の相関は薄い
なぜ今「仕事×幸福」を科学するのか

人々は昔から「〇〇という職業は幸せそう」「△△の仕事は大変そう」といったイメージを抱いてきました。
しかし、職業と人生満足度の関係を科学的に検証した研究は少なく、性格などの個人差を十分に除外できていないケースが多かったです。
たとえば「楽天的な人はどんな仕事でも満足しやすいのか」、あるいは「仕事そのものの特性が満足度を左右するのか」は切り分けが難しい問題です。
そこでエストニアのタルトゥ大学を中心とする研究チーム(第一著者カトリン・アンニ氏ら)は、エストニアのバイオバンクに登録された約5万9千人のデータを用いて職業別の満足度を比較しました。
