彼らは血縁関係のある個体を優先するものの、そうでない仲間も助けていました。

つまり、ツキノワテリムクは「家族・親戚だから助ける」だけではなく、「友だから、仲間だから、相手を助ける」行動をとっていたのです。

さらに注目すべきは、その関係性が一時的なものではなく、数シーズンにわたって維持されていたという点です。

例えば、ある年にAがBの巣を手伝った場合、翌年にはBがAの巣を支援する。こうした相互的な協力(互恵的利他主義)が何年にもわたって続いていたのです。

これはまるで人間の間にある友情や助け合いの仕組みに似ています。

鳥も人間のように長年の「友」をつくるのです。

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鳥たちも人間のような「友」の関係を築く / Credit:Canva

もちろん、ツキノワテリムクがそんな友に対して、私たちと同じ感情「友情」「信頼」を持っているとは断言できません。

しかし、彼らが長期的な協力関係を築くための社会的記憶と行動パターンを持っていることは間違いないでしょう。

今後は、こうした協力関係がどのように築かれ、どのように維持・変化していくのか、さらには「一方的な支援が続いた場合にどうなるのか」といった関係性の変化が注目されます。

また、他の鳥類や哺乳類にも類似の協力関係が見られるかどうかも、今後の大きな研究課題となるでしょう。

今回の研究が教えてくれたのは、「協力」や「持続的な関係」は人間だけの特権ではないということです。

次に仲が良さそうな鳥たちを見た時、「彼らは家族かな、それとも親友かな」なんて考えてみるのも楽しいことでしょう。

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参考文献

Birds make friends too, 20-year study finds
https://newatlas.com/biology/birds-friend-behavior/

New Study Shows That Birds Form Bonds That Look a Lot Like Friendship
https://news.columbia.edu/news/new-study-shows-birds-form-bonds-look-lot-friendship