名前のとおり、胸元にはくっきりとした白いバンド模様「ツキノワ」を持っています。
また、青緑の光沢を持つ背中と鮮やかなオレンジ色の腹を持ち合わせており、その美しい体色でよく知られています。
体長は20cmほどと中型で、観光地などでも人懐っこく姿を見せるため、人気の鳥でもあります。
しかしこの鳥の真の魅力は、その「見た目」ではなく「社会性」にあります。
ツキノワテリムクは、「協同繁殖」を行う種のひとつなのです。
では、この鳥たちの間では、どのような助け合いが見られるのでしょうか?
調査は2002年から2021年にわたり、ケニア中部に生息する9つのツキノワテリムクのグループを対象に行われました。
各個体には色分けされた足輪をつけ、数百羽の個々の行動を識別。
40の繁殖シーズンを通じて、毎回の支援行動(エサ運搬、防衛、巣の掃除など)を詳細に記録しました。
さらにDNA検査を通じて、「血縁関係」がもたらす行動への影響も調査されました。
鳥の間に築かれていた“友情”のような協力関係を発見
研究の結果、それぞれの群れは60~70羽から構成されており、その中には血縁関係もあれば、血縁関係のない鳥たちも含まれていました。
研究チームは、「ムクドリの社会は、単なる家族ではなく、はるかに複雑で、血縁関係のある個体と血縁関係のない個体が混在して共存している」と解説しています。

そして、研究チームが注目したのは、観察された協力行動において、血縁のない相手に対する支援が数多く見られたという事実でした。
繁殖するペアを最大16羽の繁殖しない個体(つまりヘルパー)が助けていたのです。
このサポートには、幼鳥のエサ探しや、捕食者から巣を守ることまで含まれます。