全身で浴びる「放射能の恵み」? 座薬から美顔クリーム、驚愕の美容・健康法
■「男らしさ」復活の秘薬? ラジウム座薬「ヴィタ・ラジウム坐剤」

(画像=画像は「Museum of Radiation and Radioactivity」より,『TOCANA』より 引用)
1920年代のアメリカでは、「ヴィタ・ラジウム坐剤」というラジウム入りの座薬が、「失われた男らしさを取り戻し、喜びに満ちた活力で満たす」と謳って販売された。ラジウムが直腸から吸収され全身の臓器を活性化するという、現代医学では到底考えられない理屈がまかり通っていた。当然ながら、その効果に科学的根拠はなく、一部の医師からは当時から疑問の声が上がっていた。
■身に着ける放射線? 謎の健康器具「ラジエンドクリネーター」

(画像=画像は「Museum of Radiation and Radioactivity」より,『TOCANA』より 引用)
「ラジエンドクリネーター」は、ラジウムを封入したクレジットカード大の金属板で、体に装着して使用する健康器具だった。夜間に局部に装着したり、体の不調な部分に当てたりすることで効果があるとされた。1920年代の製品としては非常に高価で、その効果の怪しさから1930年に製造中止となった。放射線を身にまとうという発想自体が、当時の放射能に対する人々の認識を物語っている。
■「輝く肌」の代償? 放射性美顔クリーム・パウダー「トー・ラディア」

(画像=By Cinémagazine, 14 février 1935 –,『TOCANA』より 引用)
20世紀前半のフランスでは、「トー・ラディア」というブランドが、ラジウムを高濃度に配合した美顔クリームやフェイスパウダーを販売していた。「肌の血行を活性化させ、しわを消し去る」などと夢のような効果を謳い、放射能研究の権威であるキュリー夫妻とは無関係の「アルフレッド・キュリー博士」の名を借りて信頼性を演出しようとした。1937年、政府による放射性物質を含む製品への規制が強化され、同社製品からも放射性成分は姿を消した。