また、感情的なストレスに対しては「自分は大丈夫」と我慢し、医療機関を受診するのが遅れがちである点も影響していると見られています。そのため、診断時にはすでに重篤な状態になっていることが少なくないのです。
さらに、女性ホルモンの一種であるエストロゲン(Estrogen)には、心臓をストレスから守る働きがあるとも言われており、こうした生理的な違いも死亡率の差に関わっている可能性があります。

研究期間の5年間を通じて、死亡率や合併症の発生率はほとんど改善せず、むしろ悪化している項目もありました。つまり、医療の進歩があってもなお、この病気は命を脅かす存在であり続けているのです。
この研究は、「男性は感情的・身体的ストレスに対して過小評価されやすく、その結果として重篤化しやすい」という重要な警鐘を鳴らしています。
もし、身近な男性が大きなショックを受けたあと、胸の痛みや息苦しさを訴えていたら、それは「心の問題」ではなく「心臓の病気」かもしれません。
ブロークンハート症候群は、一見すると精神的な問題のように見えても、実際には命にかかわる心臓の疾患です。ストレスは、性別に関係なく心と体の両方に影響を及ぼしますが、特に男性の心臓には「思ったよりも大きな負担」がかかっている可能性があります。
愛する人を失った悲しみで、心が折れるだけでは済まされない。それは、文字通り「心臓が壊れる」ことにつながるのです。
どうか、あなた自身も、あなたの大切な人も、「強くあらねば」と思いすぎず、必要なときには医療の助けを借りてください。それが、命を守ることにつながるのです。