また恋人には、将来のビジョンを一緒に描けるかどうか、という期待も含まれているとされます。
一緒にいて楽しいだけではなく、「ずっと一緒にいたい」「この人と人生を歩みたい」と思えるかどうかが両者を区別する判断基準になるようなのです。
つまり、友人関係は「今を楽しく過ごすこと」に重きが置かれ、恋愛関係は「未来をどう過ごすか」まで視野に入れた関係性なのです。
この違いが、同じように親しい相手でも「友人ならOKだけど、恋人にはなれない」と感じる理由のひとつです。
好きになる瞬間と「恋人には無理」と思われる理由
それでは、なぜ「友人だと思っていた相手を急に好きになる」ことが起きるのでしょうか。
これには心理学の「単純接触効果」という考え方が関係しています。
人は、繰り返し会ったり話したりする相手に対して、好意を抱きやすくなる傾向があります。
最初は何とも思っていなかった相手でも、一緒に過ごす時間が増えるうちに「この人って意外と優しい」「すごく理解してくれている」といった新しい面に気づき、恋愛感情が芽生えることがあるのです。
いわば「友情が恋愛に発展するスイッチ」が存在しており、それが長く一緒に過ごすことで無意識にONになる瞬間があるのです。
とはいえ、単に長く過ごせば誰でも恋愛感情を抱くわけではありません。好きになる場合と、そうでない場合がある理由はなんなのでしょう?
ここで重要なのが、恋愛における「ドキドキ感」の存在です。
恋愛的なドキドキは、ただ一緒にいて楽しいとか安心できるといった感情とは違い、身体の中で起きる特別な反応です。
恋愛の初期には、ドーパミンという「快感」に関係する物質や、ノルアドレナリンという「興奮」を高める物質が脳内に多く分泌されます。
このノルアドレナリンは心拍数を上げたり、手に汗をかかせたりする働きがあり、これがいわゆる「胸が高鳴る」感覚を生み出しています。
進化心理学では、こうしたドキドキ感は「注意して観察する価値のある異性に出会ったとき、集中を促す仕組み」として働いたと考えられています。