下は手術後の画像。(ぼかしのない科学雑誌の報告画像はこちらを参照)

手術後の腹部の図。(画像はナゾロジー編集部でぼかしを入れています)
手術後の腹部の図。(画像はナゾロジー編集部でぼかしを入れています) / Credit: Michele Peiretti et al., American Journal of Case Reports(2023)

退院までには約2カ月を要しましたが、手術から2年経った今では「女性は完全に回復し、以前の症状もありません」と医師チームは述べています。

一方でチームは、女性の診断が遅れた原因について「おそらく彼女の社会経済的な地位や教育水準が低かったためであり、腹部の腫れを単なる肥満と思い込んだために、医療機関に助けを求める必要がないと判断してしまったのでしょう」と話しています。

確かに、卵巣のう腫が悪性であるケースは稀であり、手術の必要性もほぼありません。

しかしこの女性のように、腹部の異様な腫れから鈍痛や便秘の症状が現れた場合は、早めの診察を受けた方がいいでしょう。

今回の報告は腫瘍を放置してしまった特殊な症例であり、自己の判断で診察を回避してしまうことの危険を訴えるものです。

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参考文献

EXCLUSIVE: Woman, 52, who thought she was ‘just obese’ has ovarian cyst the size of a MEDICINE BALL removed – after having 37liters of fluid drained
https://www.dailymail.co.uk/health/article-12242889/Woman-thought-just-obese-ovarian-cyst-size-MEDICINE-BALL-removed.html

元論文

Effective Surgical Management of a Large Serous Ovarian Cyst in a Morbidly Obese Middle-Aged Woman: A Case Study and Literature Review
https://amjcaserep.com/abstract/full/idArt/939697#f1-amjcaserep-24-e939697