「政府やエリート層が、エイリアンによる地球侵攻をでっち上げ、世界を支配しようとしている」――。にわかには信じがたいこんな話が、「偽装エイリアン侵攻(Fake Alien Invasion)」陰謀論として、特にアメリカのSNSユーザーの間でまことしやかに囁かれ、2025年現在、奇妙な注目を集めている。もちろん、これは科学的根拠に乏しい陰謀論の一つだが、なぜ今、このような説が広がりを見せているのだろうか。

陰謀論の核心「プロジェクト・ブルービーム」とは?

 この陰謀論の根底にあるとされるのが、「プロジェクト・ブルービーム(Project Blue Beam)」と呼ばれる計画だ。これは1990年代にカナダの陰謀論者サージ・モナスト氏が提唱したもので、NASAや国連といった国際機関が、ホログラムなどの高度な映像技術や心理操作を駆使して、大規模なエイリアン侵攻を演出し、それによって世界統一政府(新世界秩序)の樹立をもくろんでいる、という壮大なストーリーである。

 この説は長らくUFOや政府の隠蔽工作といった他の陰謀論と結びつきながら、インターネットの片隅で語られてきた。しかし、ある出来事をきっかけに再び息を吹き返したのだ。