場所の位置関係を覚える場合を例に挙げると、空間情報は右脳に関与するとのデータが過去の研究で提出されており、記憶・想起時の握る拳の効果が変化する可能性も考えられます。

しかしHERAモデルは、どのような文脈で覚え、思い出したのかというエピソード記憶に関するモデルであるため、記憶した刺激の種類に関係なく、記憶時と想起時の脳の左右差を予測しています。

つまり、単語や絵などさまざまな情報を覚える際に、右の拳を握り、思い出す時には左の拳を握ることでより多くの情報を記憶することができる可能性を示唆しているのです。

研究チームは「今回の研究結果は、拳を握るという単純な体の動きにより、記憶力が向上する可能性があることを示唆している。今後の研究では、拳を握ることで、記憶力以外の言語能力や空間能力も改善できるかどうかが検討する」と述べています。

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参考文献

Clenching right fist may give better grip on memory.
https://www.eurekalert.org/news-releases/493449

元論文

Getting a grip on memory: Unilateral hand clenching alters episodic recall.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3634777/

ライター

AK: 大阪府生まれ。大学院では実験心理学を専攻し、錯視の研究をしていました。海外の心理学・脳科学の論文を読むのが好きで、本サイトでは心理学の記事を投稿していきます。

編集者

ナゾロジー 編集部