製造コストの大部分は水素の生成に起因しており、水素のコストが1Nm³あたり100円の場合、e-fuelの製造コストは約700円/Lとなる。仮に水素のコストが30円/Nm³(NEDOの2030年目標値)まで低減された場合でも、e-fuelの製造コストは約255円/Lと試算されており、依然としてガソリンの約1.5倍のコストとなる。
さらに、e-fuelのエネルギー効率はガソリンと比較して劣るとされており、同じ走行距離を得るためにはより多くの燃料が必要となる可能性がある。そのため、燃料コストの面でもガソリン車に対して経済的優位性を持つには、さらなる技術革新とコスト削減が必要となる。
e-fuelについてのまとめ
現時点では、日本政府はe-fuelを使用する内燃機関車に対する特別な措置を講じておらず、2035年までに新車販売を電動車100%とする方針を維持している。e-fuelの将来的な経済性については、製造コストの高さやエネルギー効率の課題があり、ガソリン車と比較して経済的に優れているとは言い難い状況である。
しかし、2035年以降、技術革新や政策支援により、e-fuelのコストがガソリンと同等になる可能性もある。ただし、エネルギー効率の向上や安定供給体制の構築など、解決すべき課題も残されている。

e-fuelの製造コストと水素価格
【注記】
現状のレギュラーガソリン価格:約168円/L e-fuel製造コスト: 製造コスト低下には第一に水素価格が寄与し、製造プロセスの効率化や再生可能エネルギーの利用拡大も貢献する。 水素価格: 再生可能エネルギーのコスト低下と製造技術の進展(原子力由来の水素などを含む)により、将来的に価格低下が見込まれる。 備考::各年度のコスト推定は、技術革新の進展や政策支援の影響を考慮した。
これらの推定値は、技術の進展や政策の影響を受けるため、実際のコストは変動する可能性がある。