その多くが車庫証明のような比較的報酬の安い業務となりましたが、小さな仕事だからといって小さく扱うことは決してしませんでした。
もちろん元請け的な行政書士も自分自身の生活があるため、大きな仕事を出してくることはほとんどありません。しかし、こういった仕事を積み重ねてお金は増えていくということを痛切に感じました。1,000万円という目標とする数字は、1円の積み重ねなのです。そして、行政書士業務に直接関連しないことも依頼を頂ければ行いました。
東にビジネス系セミナーの手伝いを頼まれれば喜んで行い、西にインターネットの設定で困っている年配の経営者がいれば進んでネットの設定をしに行きました。本当にアルバイトのようなことから、最終的には講師をやってほしいというありがたいお話までやりました。果たしてそれらがしっかりとできていたかどうかは私自身にはわかりませんが、必死になって誰かのために役に立とうという姿勢が最終的に仕事を増やしてこられた要因と考えています。
他の士業の事例では、知り合いの会社の税務を格安で受けさせてくれという営業で小さな顧問を取ったり、社労士も1万円を切るような顧問をかき集めて売上にしたりなど、今成功者と呼ばれる人は、どういう経緯であれ一度は必死になった時期が創業期に必ずあるのです。
もちろん、マーケティングなどの知識も非常に重要です。私もビジネス系のセミナーではマーケティングの重要性をお伝えします。しかしながら、それ以上に必死になってこの仕事で食べていきたいという姿勢がなければ、やはりお客様はあなたに仕事を出したいとは思わないものです。抽象的な話ではあります。ただ、お金がなくなってから、仕事が取れなくなってから気づいたのでは時に遅すぎることがあるのです。
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横須賀 輝尚 パワーコンテンツジャパン(株)代表取締役 特定行政書士 1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ1,700人以上が参加。著書に『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、『士業を極める技術』(日本能率協会マネジメントセンター)、他多数。 会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業 | 横須賀輝尚