これまで見てきたバブルの事例には、いくつかの共通点がありました。
一つは、「値段が上がり続けること」を誰もが当たり前だと思い込んでいたこと。
もう一つは、「乗り遅れたら損をする」という焦り。
そして、もっとも根深いのが、「自分だけはうまく逃げ切れる」という、根拠のない自信や楽観です。
こうした心理が重なったとき、人は中身やリスクを見なくなり、“今上がっている”という理由だけでお金を注ぎ込んでしまいます。
私たちがバブルを防ぐことはできなくても、「その波に巻き込まれるかどうか」は、意識の持ち方ひとつで大きく変わります。
「価格が上がり続けてるのに、今始めないと損だよ」「みんなやってるよ」「タイミングさえ見極めれば大丈夫だよ」
そんな言葉に惑わされて、その株式や金融商品の中身が何なのかもわからず、とりあえずで買ってしまっていないでしょうか?
リーマン・ショックで扱ったMBS(住宅ローン担保証券)という商品を思い出してください。どれだけ多くの人が、仕組みも知らず、仕掛け人のモラルも疑わず、「儲かるらしいから」と買っていたでしょうか?
銀行も証券マンも、きちんとリスクを説明せずに、モラルもへったくれもなくとにかく売りまくってくる場合があるということは、リーマン・ショックの事例からもよくわかります。
期待で膨らむとか、リスクを理解していながら止まれないという話をしましたが、それは金融システムの仕掛け人たちの視点で見た場合の話です。
一般の人たちは、そんな市場の状況や、商品の中身も知らずに、「よくわかんないけど今やったら儲かる」という情報だけで投資してしまうことがほとんどです。
その商品が“なにを裏付けにしているのか”、誰がそれを設計したのか、リスクはどこにあるのか。知らずに手を出して、結果的に巻き込まれていった──それが、バブルの正体でもあります。
株を買う前に、こう問いかけてみてください。