「株」って、本当にその企業に投資してると言えるの?

たしかに株式は、企業が成長するための資金を集める手段です。株主は会社の共同オーナーとして、利益が出れば配当を受け取り、会社の価値が高まれば株価も上がる、それが本来の“投資”という仕組みでした。

つまり、株式投資とは「企業と共に歩むこと」であり、それが資本主義の原動力のはずでした。

でも今の市場を見ていると、少し違う風景が見えてきます。

多くの人は「あとで高く売れそうだから」という理由で株を買っていて、配当はあってもごくわずか。そもそも配当すら出さない企業も少なくありません。利益を得るには、誰かにもっと高く売るしかありません。それって本当に投資なのでしょうか?

実際、株価は企業の実績や社会的な意義よりも、“雰囲気”や“期待”で動いています。

政治家の発言ひとつで上下し、SNSの風向きひとつで高騰や暴落が起きる。投資家たちは「この会社がどんな価値を生んでいるか」よりも、「次に誰が高く買ってくれるか」に注目して売買しています。

そんな市場を見ていると、まるで“転売”のように感じられるかもしれません。

経済学者ケインズは、かつてこのような状況を「美人投票」のようだと言いました。

「自分が美しいと思う顔」ではなく、「他人が一番美しいと思いそうな顔」を選ぶ。
株式市場は、自分の判断よりも、他人の期待を先読みするゲームになってしまう。

こうした構造が過熱すれば、いずれ「実態よりも期待だけが膨らむ」ことになります。つまりバブルです。

バブルとは、「期待が過剰に膨らみ、それが裏切られて信用が一気に崩れる」現象です。そして、株式はまさに「期待と信用」そのものが値段になっている商品です。

ここで大切なのは、「すべての株式投資が悪い」わけでも、「短期売買がいけない」という話でもありません。

大切なのは、「中身を見ずに期待だけで買っていないか?」という問いかけです。

いま投資を始めるあなたへ: “買う前”に考えてほしいこと