米国の薬物・麻薬事情を放映したドイツのルポを観た時、正直言って驚くというより、「あの米国がどうしてここまでになってしまったのか」と考えざるを得なかった。サンフランシスコの路上に麻薬中毒者がゾンビのように屯しているのだ。誰も彼らをケアしない。
旧ソ連・東欧共産圏と対立していた冷戦時代、米国は共産党政権下で苦しむ全ての人々にとって希望の地だった。自由になって、米国のような国に住みたいと願っていた。その米国で現在、薬物・麻薬に溺れる国民が増えているのだ。
繰り返すが、米国の薬物・麻薬の過剰摂取による死者数は、ガザ紛争の犠牲者の数や、ロシアとの戦争によるウクライナ側の犠牲者の数を上回っているのではないか。欧州はウクライナ戦争の停戦のために米国に積極的な関与を期待しているが、トランプ大統領は「ウクライナ戦争は欧州の問題だ」と強調する。トランプ大統領がウクライナの安全問題に無関心だからではないだろう。トランプ氏には米国内の薬物・麻薬戦争という‘内戦‘での勝利が何よりも‘ファースト‘だからだ。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年5月日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。