最近の英国内外の動きを見ると、社会で弱い立場にいる人への政府への支援はますます厳しくなりそうです。トランプ米大統領による世界各国への関税増大で経済に悪影響が出そうですし、ウクライナ戦争をめぐって欧州の安全保障のために防衛費を増やす必要があるからです。
5月1日、地方選挙と下院補欠選挙が行われました。地方議席約1600の中で、労働党は186議席を失いました。代わりに右派保守系の「リフォームUK」が躍進し、677議席を獲得。前与党だった保守党は大敗し、670議席以上を失う結果となりました。
下院の補欠選では、以前は労働党の議席をリフォームUKの候補者が奪いました。
労働党が矢継ぎ早に出した、人気がない政策を取りやめれば良いという圧力がますます強くなっているようです。
介護職の採用禁止!?
5月12日、さらに驚くような動きがありました。スターマー首相が今後4年間で純移民数を「大幅に」減少させるための施策を発表し、この中に「海外からの介護職の採用禁止」が入っていたのです。
英国のケア業界は人手不足に悩んでいます。国営の医療サービス、そして高齢者や疾病者をケアする現場は、多くの海外出身者が支えています。そこにメスを入れるとは・・・。
一体どんな人が政権に政策アドバイスをしているのか、大いなる疑問を感じるこの頃です。
PIP(個人自立手当)「Personal Independence Payment」の略。長期的な病気や障がいのある人に支給される手当。日々の生活関連手当は週に72.65ポンド(約1万4000円)から108.55ポンド(約2万円)。身体の可動性手当は28.70ポンド(約5592円)から75.75ポンド(約1万4700円)。スコットランドでは「成人障がい手当」がある。
※「英国ニュースダイジェスト」の筆者記事に補足しました。
編集部より:この記事は、在英ジャーナリスト小林恭子氏のブログ「英国メディア・ウオッチ」2025年5月13日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「英国メディア・ウオッチ」をご覧ください。