さて、鉄輪温泉といえば「地獄めぐり」が有名です。ここでは多くの池に地底から温泉が湧き出ていますが、その場所ごとに異なる地質のため池の色が変わります。その池を「地獄」と見立て、観光施設化したもので現在は7つの「地獄」がこの周辺に点在しています。今回訪ねたのは「鬼山地獄」。

その名の通り鬼がいました。
この日は雨で少し気温が低かったからか湯気多め。池の水面がやや見えにくかったのが残念でした。
が、鬼山地獄のメインスポットは池だけではありません。この建物を抜けると日本で初めて飼育に成功したある生き物が大量に飼われているのです。
それがワニ。鬼山地獄は別名ワニ地獄とも呼ばれています。大正12年に温泉の熱を利用して飼育を開始、現在は70匹ほどのワニがいます。ぐるっと回りましたがまったく動きません。餌付けの体験ができるそうですが、このときはきっと修羅場の様相なんでしょうね…。
もうひとつ、「海地獄」にも行ってみました。
温泉中の成分である硫酸鉄が溶解し、海のようなコバルトブルーの湖面となります。大正9年に昭和天皇(当時は皇太子)がこの地を訪問、国の名勝に指定されています。
海地獄の中にはこのような赤い池もあります。こちらは酸化鉄、酸化マグネシウムが含まれ赤くなった泥が熱水とともに噴出したもの。ほんの少し離れただけなのに噴き出す場所によってこれだけ池の色が変わる。本当に不思議です。
海地獄の施設内には「地獄」の歴史を知ることができる「ギャラリー青」があります。今は多くの観光客の目を楽しませてくれる「地獄」ですが、かつてはこの温泉の湯によって作物が育たなくなる厄介者とされていました。田畑から突然温泉が湧き出て作物が全滅してしまうこともあったそうで、この地に住む農民にとってはまさに「地獄」であったといいます。ここではそんな「地獄」の負の歴史も教えてくれます。
日本を代表する温泉地、別府。一泊したことでその魅力をたっぷりと楽しむことができました。別府駅周辺や鉄輪だけではなく、別府にはこのほかにも多くの温泉地があり、ラクテンチなどの歴史ある観光施設もあります。次はまだ訪ねたことのない別府に足を踏み入れ、新しい別府を知りに行きたいと思いました。