回転寿司チェーン「スシロー」が明日5月13日から14日までの2日間、国内全店舗で一斉休業する。大手外食チェーンで複数日にわたり全店舗を一斉休業するというのは異例だが、なぜ従業員が個別で休暇を取得するかたちではなく一斉休業という形態をとるのか。また、スシローは毎年、一斉休業を行っているが、どのような効果が生じているのか。運営会社であるFOOD & LIFE COMPANIES(F&LC)に取材した。

業績は好調、25年9月期は過去最高益の見通し

 全国に646店舗(2024年9月末現在)を展開し、売上高、店舗数ベースでは国内回転寿司チェーン業界1位のスシロー。一皿120円(税込)からという低価格でおいしい寿司が食べられる点が特徴だ。レギュラーメニューとしては「厳選まぐろ赤身」「サーモン」「生えび」「煮あなご」といった定番ネタを120円(店舗によって異なる/以下同)で提供。このほか、「濃厚えび味噌ワンタンメン」(390円)、「モッツァレラチーズ天ぷら」(280円)などサイドメニュー、「わらび餅と大学芋のどっちも盛り」(230円)、「カタラーナアイスブリュレ」(230円)といったスイーツも充実している。

 業績は好調だ。F&LCの24年10月〜25年3月期の連結決算は、売上高にあたる売上収益が前年同期比16%増の2038億円、純利益は63%増の118億円。25年9月期は、純利益が前期比30%増の190億円と過去最高になる見通し。注力する海外事業も順調に推移しており、現在200店超ある海外店舗数を26年9月期までに310~320店に、26年度の海外事業の売上収益を1620憶円に伸ばす計画を示している。24年9月期通期の決算説明資料によれば、香港・台湾では積極的な出店も奏功し、引き続き業績好調を維持。中国大陸では景気低迷の影響を受けるも業績は改善傾向であり、同決算期下期には新規エリアの天津に3店舗、北京に2店舗を出店し、特に北京1号店では連日満席の盛況が続く。韓国では昨年9月末に4年ぶりとなる新店を明洞にオープンし、平均日販は連日韓国内のスシロー店舗上位に入る好調な滑り出しを切っており、「デジロー」を武器に更なる集客を目指す。タイでは小商圏フォーマットなど複数の収益モデルを確立したことで、出店可能エリアが拡大。シンガポールでは昨年8月にオープンしたThomson Plazaはシンガポール内のスシロー店舗で1位に並ぶ売上を計上しており、好業績をけん引。インドネシアでは昨年度に4店舗を出店し、商品と接客の質の高さを武器に他社との差別化を図っている。また、米国・ボストンに杉玉をモデルにしたすし居酒屋「酒林」を昨年4月にオープンさせている。