S&P 500はせいぜいローズガーデン直前に戻った程度であるが、NAAIMは既に年末年始のレンジの真ん中まで戻っている。先々週の記事でも想定したように、NAAIMがGSセンチメントを遅れて追い掛ける形で急反発しているため、売り場に見えて来る。
インサイダーは人間味があるオペレーションをしており、4月の下落を取り崩さずに耐え抜いた後に5月に入って一気にやれやれ売りっぽいフローになった。
テクニカル。前回の記事では5700近辺までラリーしたのを見た上で「5433 -5750レンジ」を設定し、またレンジの中で5582をサポートとして取り上げたが、実働域は5578 -5720とレンジ上半分での推移となった。
今回S&P 500週足は下ヒゲ陽線を形成しなかったがナスダックは下ヒゲ陽線となっており、17500が週足サポート・兼分水嶺となる。S&P 500は日足チャートはティーカップともリバース・ヘッドアンドショルダーにも見えており、後者として見る場合、ネックラインはローズガーデン前の最後の戻り高値5787から引き始めるに決まっているため、5700近辺で上下している間はいかようにも引ける状態が続く。
これまでの軽快なラリーと打って変わっての上値の重さはイメージ通りであり、これはテクニカルだけでなくファンダメンタルズからも、かねてから「一律関税10%織込みに当たる5700台の重さ」は予想してきた。
一方、ただの200SMA(5750)と50SMAに挟まれた狭いレンジの推移を「上値が重い」と見るのもバイアスに囚われている可能性があり、このボックス内の展開が続けば4月の荒れ相場の中で追い求めてきた「リアライズドVolが低下するじり高」で機械勢の買いがあぶり出される展開も見えて来る。
どちらのパスになるかはやはりナスダックの17500が決めることになるのではないか。ここをブレイクしてボックスの外に出てしまえば「ラリー失速でシステマティック勢のあぶり出しどころではない」展開となり、あれほど分かりやすかったS&P 500の5700台という逃げ場でなぜ売らなかったのかという構図が見えてくる。