現代はストレス社会と言われています。
仕事、人間関係、情報過多など、私たちの心は日々多くの負荷にさらされています。
「メンタルを崩して生活が大きく変わってしまった」という経験を持つ人も少なくありません。
そんな時代だからこそ、心の健康を守るための「予防」がとても大切になります。
そんな中、オーストラリアのカーティン大学(Curtin University)の研究チームが、日常生活に取り入れられる行動とメンタルヘルスの関係を分析しました。
603人の成人を対象に行った大規模調査の結果、心の健康に最も効果があったのは、誰もが取り入れられる“身近な方法”でした。
研究の詳細は、2025年4月28日付の「SSM – Mental Health」誌に掲載されました。
目次
- 心のトラブルを未然に防ぐ習慣とは?
- 心の健康に最も役立つのは「誰かと会話をすること」だった
心のトラブルを未然に防ぐ習慣とは?
メンタルヘルスの問題は世界中で深刻化しています。
しかし従来の対策は、症状が重くなってからの治療に偏りがちでした。
研究チームは「そもそも問題を未然に防ぐことが重要なのでは?」と考えました。
そこで着目したのが「Act Belong Commit®(ABC運動)」という西オーストラリア州で2008年から展開されているメンタルヘルス啓発キャンペーンです。

このキャンペーンは「行動する」「つながる」「打ち込む」という3つの柱で、誰もが日常の中で簡単に心の健康を保つ行動ができるよう呼びかけています。
しかし、これまでABC運動で進められているような日常の行動が、具体的にどのように人々のメンタルヘルスに影響してきたかは科学的には明確ではありませんでした。
そこで研究チームは、ABC運動に参加した成人603名(平均年齢49.4歳、男女比ほぼ同等)に電話インタビュー調査を行い、「15種類の日常行動」の頻度と心の健康度(Warwick Edinburgh Mental Well-being Scale:WEMWBSスコア)との関連を徹底的に分析しました。