帰りは田園風景の中、雄大な由布岳を背しながら歩いていきます。おしゃれなお店はないですが、人混みはなくわたしはこっちを歩く方が断然好きです。
道中、宇奈岐日女神社の前に観光辻馬車がいました。馬車は宇奈岐日女神社や佛山寺など歩くと少し時間のかかるところを60分で周遊してくれています。のどかな山間の町をゆっくり景色を見て馬車の旅を楽しむのもいいものです。
辻馬車の目的地のひとつでもある宇奈岐日女神社は由布院駅から20分ほどの場所にあります。宇奈岐日女は綿花の栽培を司る神とされ、この地域がかつて木綿の栽培地であり、その繁栄を願って祀られたと考えられています。
木綿は「ゆう」と呼ばれ、この地域が「ゆふ」と呼ばれる語源となったと言われています。また、宇奈岐日女はかつてこの地が大きな池だったのを、男神に命じて岸辺を破らせて川を作って水を流させ、由布盆地を作ったという伝説も残ります。
由布院散歩の旅の最後はやはり温泉。町民の健康福祉施設に「クアージュゆふいん」という温泉施設があって、こちらを利用します(520円)。湯布院に来るのは5回目くらいなんですが、温泉施設は小規模ながら露天風呂もあって心地よく、だいたいここを利用しています。
3時間ほどの由布院散歩を終えて駅に戻ると「或る列車」が停車していました。こちらもJR九州のD&S列車のひとつ。かつて私鉄だった九州鉄道がアメリカに発注した豪華車両があったのですが、納品後に九州鉄道が国有化され走ることはありませんでした。故・原信太郎さんが残していたその車両の鉄道模型をもとに、100年の時を経て復活した観光列車です。
今回はわたしは「或る列車」を見送りその向こうの赤い普通列車に乗ったのですが、今度はこちらを使って九州内をクルーズしたいですね。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年5月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。