子供たちの算数ぎらいは「音楽」によって緩和できるかもしれません。
トルコのアンタルヤ・ベレク大学(ABU)の23年の研究では、過去50年にわたる先行研究のメタ分析から、児童や学生に音楽を積極的に学ばせることで算数や数学が得意になることを報告しています。
研究者によると、音楽だけの独立した学習でも効果がありましたが、特に算数や数学の授業に音楽を取り入れることでその効果は最大化されたとのこと。
研究の詳細は、2023年6月28日付で学術誌『Educational Studies』に掲載されています。
目次
- 「音楽」と「数学」は双子の関係にある?
- 音楽レッスンでスコアが向上!
「音楽」と「数学」は双子の関係にある?
「音楽」と「数学」が互いに双子のような関係にあることはよく知られた事実です。
音はそもそも周波数(1秒間に発生する波の数)で表され、周波数が高いほど高音に、低いほど低音になるなど、数字と深く関わっています。
こうした音と数の関係に人類は大昔から気づいていました。
古代ギリシアの数学者であるピタゴラス(BC582〜BC496年)は、弦の長さの整数比から「音階」を発見したことでも有名です。
彼は数字と音の密接な関係性から「自然界のあらゆる構成物は数から生じるハルモニア(調和)で成り立っている」という名言を残しました。
つまり、音楽のハーモニーは数字の規則性から作られるというわけです。

また楽譜を見てみると、音符の長さは分数で表現されています。
音符の基本となる全音符を1として、その長さを半分にしたものが2分音符、4分したものが4分音符、8分したものが8分音符です。
この他にも音と数字に見出される共通点は数えきれないほど存在します。
音楽レッスンの前後における算数・数学のスコアを比較
これを関連するように、過去の研究では「音楽の得意な子供ほど算数も得意になる傾向が強い」ことが示されていました。