火星の大地に聳える「オリンポス山(Olympus Mons)」は、太陽系最大の火山として有名です。
山の高さはエベレストの3倍に相当する約2万7000メートルに達します。
山頂にあるカルデラ(窪地)は深さ3.2キロ、長径80キロもあり、富士山がほぼ収まってしまうほどです。
そして仏パリ=サクレー大学(Université Paris-Saclay)、フランス国立科学研究センター (CNRS)の研究によると、このオリンポス山はかつて広大な火星の海に浮かぶ島だった可能性があるという。
実際がどうであったか、まだ明確なことはわかりませんが、火星のかつての姿を想像するこの研究は非常にロマンに溢れています。
研究の詳細は、2023年7月24日付で科学雑誌『Earth and Planetary Science Letters』に掲載されています。
目次
- オリンポス山の不可解な点とは?
- 海に囲まれていた可能性が大!
オリンポス山の不可解な点とは?
オリンポス山は、火星の赤道に広がる巨大な火山平原のタルシス地域にあります。
火山タイプとしては、粘性の低い(サラサラ流れやすい)溶岩によって緩やかな傾斜と広い底面積を持つ「楯状火山」に分類されます。
オリンポス山を含むタルシス地域の火山は、ノアキス紀(約41~37億年前)の末期に形成されました。
この時期の火星には、より高密度の大気と暖かな環境、広大な海が広がっていたことが分かっています。
またここまで巨大化した理由としては、火星上でプレート移動が起こらないので、ホットスポット上に火口が留まり続けたためではないかと考えられています。

一方で、オリンポス山には不可解な点があります。
山の麓の部分がなだらかな斜面として地面に接しておらず、高さ約6キロの辺りで、崖のような急斜面になっているのです。