2つ目は、「公正世界信念(just-world belief)」と呼ばれる心理です。
これは、この世界は基本的に公平で、善いことをすれば報われ、悪いことをすれば罰を受けると信じたいという心の働きです。
もし世界に理不尽な出来事ばかりが起きていたら、人は不安になります。
そこで、人は他人の不幸を見たときに「きっとその人が悪いからだろう」と解釈することで、「ちゃんと世界は公平に機能している」という安心感を得るのです。
このように、自分は善良で正しいという気持ち(自己高揚)と、世界は公平であってほしいという願い(公正世界信念)の2つが重なることで、人はカルマ的な考え方を、自分と他人で都合よく使い分けてしまうのです。
その結果、多くの人は無意識下で、自分がひどい目に遭うと理不尽だと感じる一方で、他人が不幸な目に遭うと、その人に問題があったからだと考えるようになります。

この構図は、SNSのリプなどの傾向からも見て取れるかもしれません。
誰かが不幸な目にあった投稿に対して、同情するよりも、「自業自得だ」という意見が多かったりする場合は、こうした要因が絡んでいる可能性があります。
最近のネットは過剰な道徳を求めすぎているという指摘が起きるのも、ここに原因があるかもしれません。
この研究は、そうした不幸な目に遭った他人に厳しく当たる要因が、特殊な人に限らず、誰の中にもある心理的バイアスによって生じる可能性を示唆しています。
だからこそ、誰かを責めたくなったとき、一度立ち止まって「自分の場合も同じように考えるだろうか」と問い直すことが、公平で穏やかな社会への第一歩になるのかもしれません。
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参考文献
Most people believe they deserve good karma more than others
https://www.earth.com/news/most-people-believe-they-deserve-good-karma-more-than-others/